高齢者の見守りについて思う事

「見守り」って、私は以前から違和感を感じていました。

よく自治体では「地域の見守り体制の構築」なんていう目標を掲げることがありますよね。 

介護保険の認定調査でも、自立、見守り、一部介助、全介助とランク付けされていますが、この「見守りレベル」っていうのは、要は「ほぼ自立してはいるけど、事故を起こす可能性があるから、常に目を配っていたほうが良いレベル」ってことなんです。

でも考えてみて下さい。頻繁に目を配っていても、事故を起こすのは一瞬なので気が付いた時はすでに時遅し。転倒したり、誤嚥したり、溺れたり。つまり、見守っていても事故を未然に防ぐことはできなくて、事故が起きた後の発見が早いだけなのです。

例えば、一人暮らしの高齢者が転倒して骨折したとしても、見守り体制ができていればすぐに発見されて救急車を呼んでもらえるし、心臓発作で急死したとしても、頻繁に見守りがあれば死後時間が経ってしまう前に発見してもらえるという事。

確かにそれはそれで大きなメリットです。例えば「事後発見」を早める手段として最適なのはAIセンサー付きのカメラで24時間高齢者を監視し続けることではないでしょうか。これが実現すれば、事故が起きた瞬間に緊急通報することが可能です。例え人権無視と言われようが、目指すところが「事後発見の早さ」であれば、この方法が最適でしょう。

ただ私は、これでは後手の対策でしかないように感じてしまうのです。

通常高齢者が事故を起こす前の段階として、フレイルという状態になります。

フレイルの概念図

 

 

フレイルとは、加齢により心身・認知機能が衰えてくる虚弱状態の事です。そして、フレイルになると、少しずつ生活課題が発生してきます。例えば、

・買い物に行くのが大変になってくる、

・銀行や役場に行けなくなる、

・掃除や片付けができなくなる、

・ゴミがたまってくる

など。そしてそれが進行してくると、以下の様な問題となって表面化してきます。

・買い物に行くのが大変になってくる⇒食生活の乱れによる栄養不良

・銀行や役場に行けなくなる⇒支払い滞納・諸手続の滞り

・掃除や片付けができなくなる⇒不衛生・引きこもり

・ゴミがたまってくる⇒ゴミ屋敷

 

そして最終段階として心身異常、つまり住宅内外での事故、病気、死亡につながるのです。

だから、いくら事故が起きた際に早期発見できたとしても、その前段階を放っておいたら問題解決にはならないということ。つまりフレイルの段階で出てくる生活課題を解決することが大切なのです。そういった生活の手助けを普段から近所の住民同士で行う事ができれば、単にAIを使って「見守り体制を構築」するだけよりも根本的な問題解決になるし、そうやって関わる事自体がご近所同士の見守り体制になる・・・そう思いませんか?

これが、私が「えんじょるの」を広めたい理由です。

将来的に「えんじょるの」は買い物代行だけではなく、外出付添い、ゴミ出し、掃除片付け、趣味娯楽の付添い、行方不明者捜索にも使えるシステムにしたいと思っています。それが実現すれば、フレイルの段階で出てくる生活課題を近所の人たちの手助けで解決できるようになると思っています。

 

どうかこの夢が実現し、一人でも多くの仲間が出来ますように!

 

 

 

 

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