8月1日、マキ奈尾美さんのコンサート「命ある限り輝いて」が、軽井沢大賀ホールで開催されました。
マキさんの歌とピアノ、そして聴く人の共感を誘うMC。
…やはりどれも一流です。
マキさんが歌った歌は、イタリア、ギリシャ、韓国、中国、ロシア、アルゼンチン、スペイン、日本など世界中の歌。しかも古代、中世、近代と時代もまちまち。
でも不思議な事に、どの歌に対しても現代の日本で生きている私が共感できるのです。こんなに、場所も時代も違うのに。
コンサートの間、私は忘れていた懐かしい記憶をめぐる旅をしている様な感覚で、
「もしかして、人類って皆繋がっているのかも…」
そんな事を思いながら聴いていました。
そんな不思議な時間のなか、ついに私が一番楽しみにしていた曲が始まりました。
その曲の名前は、「ユルラン」
私が中学生の頃、若年性アルツハイマー病になった母。その母への想いを歌詞にした曲です。
実は、私はこの昔の辛い記憶を二度と思い出したくないと思いながら人生を過ごしてきました。しかし昨年この歌の歌詞を作り出してから、当時の私と母の苦しみを、今もどこかで同じ思いで苦しんでる人を勇気づける為に完成させたい、と思うようになって来たのです。一言一言の言葉から出てくるニュアンスをつなぎ合わせながら、当時の私の気持ちに一番近い詩を探していく。何度も何度も書き直し、考え抜いた歌詞です。
そんなことを思いながら、聞いた「ユルラン」。マキさんのMCも絶品で、まるで当時の私の状況が目の前に広がるようでした。
するといつの間にか私の隣の席には、今の私と同じ48歳の、発病当時の母が座っていて、一緒に歌を聞いているような気がしました。
「お母さん、マキさんがお母さんの歌を歌ってくれているよ。僕たちが苦しんでいたあの時の事が、多くの人を慰める歌になったんだよ。」
歌の途中からそんな想いが溢れて来て、涙が止まりませんでした。
マキさん、本当にありがとうございます。
マキさんが歌う「ユルラン」こちらからも聞けます。