ヤングケアラーの話をすると、よく人からこんな質問を受けます。
「うちの子によくお手伝いをさせていますが、あまりやらせ過ぎるとヤングケアラーになってしまうのでしょうか?どこまでがお手伝いで、どこからがヤングケアラーが行うケア(以下、ケアといいます)なのでしょうか?」
というのがあります。皆さん我が子をヤングケアラーにさせてはいけないと心配しているのです。
そこで今日から3回シリーズで、お手伝いとケアの違いという切り口から、ヤングケアラーが抱える課題と解決策について話をします。
では早速、第一回目の今日は「お手伝いとケアの違い」について話しますね。皆さんの意識の中には、このような感覚はありませんか?
・お手伝い=子供にさせた方が良いこと
・ケア=子供にさせるのは良くないこと
これは皆さんの中に「ケア=膨大な量のお手伝い」という認識があるからです。例えば、ある子供が毎日お手伝いとして洗濯物たたみをしていたとして、ある時から居間の掃除機がけをさせ、風呂掃除をさせ、ゴミ出しをさせるという風に、どんどん手伝いの量を増やしていくと、ある境界線を越えるとヤングケアラーになってしまうと思っていらっしゃる訳です。だから最初の質問は、その境界線はどこなのかを教えて欲しいという内容なんですね。
しかしですね、、、そもそも、お手伝いとケアは性質が違うのです。お手伝いの量が増えるとケアになるわけではないのです。その性質の違いがこの対照表です。
お手伝い | ケア | |
1 | 親などからの命令や指示でやらされる(場合が多い) | 自らやる、またはやらざるを得ない |
2 | 逃げられる | 逃げられない |
3 | 具体的な活動 | 具体的な活動 + 心理的なサポート |
まず1番についてご説明します。まず、お手伝いは「別にやらなくても良い状況」にも関わらず、敢えて「やらされる」ことで始まるのが殆どですが、ケアは「やらざるを得ない状況」が先にあって、その状況を感じ取った子供自らが自発的に行ったり、いつの間にか気が付かないうちに子供の生活に入り込んでいます。
その結果2番目につながるのですが、お手伝いは子供がやらずに逃げようと思えば逃げられるのですが、ケアはめ逃げたら家族の生活が回らなくなってしまう為、子供は逃げたくても逃げられないのです。
そして3つ目として、お手伝いは掃除や片付けなど具体的な活動として捉えることができますが、ケアはそこに心理的なサポートが加わります。例えば、家族の事を心配することだったり、慰める事や話を傾聴する事などです。
このように、お手伝いとケアは性質が違う為、お手伝いの量を増やしていけばケアになるというものではありません。では次回はこれを踏まえて、実際に子供の生活の中に「お手伝いとケア」が入ってきたときの影響についてみていきたいと思います。