私の人生を賭けた作戦

 最近よく人から「ほんとに色んなことやってるね。」と言われます。確かに、「ケアマネジャー」をしながら、「えんじょるの」「歌作り」「漫画作り」「講演会やコンサート」など、色々なことをやっています。でもこれらの事は一見バラバラの事の様に見えるかもしれませんが、実は全て目的が同じなのです。そこで今日は、このブログの場をお借りして、私がやっている事のつながりを分かりやすくご説明したいと思います。

 私がやっている事のルーツはヤングケアラーとしての経験にあります。私は子供の頃、若年性認知症の母親の介護をしていました。当時中学生の私は、徘徊していなくなってしまった母を探しに行って連れて帰ったり、排泄に失敗した後始末をしたり。それらの事は子ども心にとても辛い出来事でした。でもこういった介護そのものの辛さよりもっと辛いことがありました。それは、周りから孤立した事です。母親が認知症になったなんて友達や学校の先生に相談なんて出来ませんし、分かってもらえるはずがないと思って一人でふさぎこんで閉じこもっていたのです。

 そんな経験もあって、今私はケアマネジャーをしているのですが、この仕事をしている根底にある想いは、「困ってる人を孤立させない社会を作りたい」という事です。その為に人同士の助け合いを広めたいという想いがあります。もっと気軽に周りに助けを求められる社会に、もっと気軽に困っている人に手を貸せる社会に、そんな風に「風通しの良い社会」にしたいと思っています。「そんな社会を変えるなんて、個人でできるわけがない。」と多くの人はいうでしょう。でも、私はダメもとでチャレンジしてみたいのです。一度きりの人生だからその為にこの人生を使ってみたいと思っています。

 現代の社会は、分断社会、自己責任の社会、孤立無援の社会、なんて言われます。でも私は、社会がたとえそんな危機的な状況であったとしても、なんとか人と人を繋ぎ合わせる方法はないかと普段から考えています。そして私は色々と考えた結果、助け合いを広めるためには、二つの条件をクリアしなければならないと考えました。一つ目は「今よりも人々が助け合いに参加しやすくなる事」、そしてもう一つは「人々の意識を変える事」です。

 まず一つ目の条件である「人々が助け合いに参加しやすくなる」という条件をクリアするために、私はある仕組みを作りました。それは「えんじょるの」というウエブシステムです。ここでは、この仕組みの詳しい説明はしませんが、簡単に言うと「困っている人」と「地域のボランティア」を繋げるための仕組みです。特徴としては高齢者でも電話だけで簡単に使えて、地域の人も簡単にボランティア参加が出来て、しかも運営コストがほとんどかからないというものです。この仕組みを日本全国に広めて助け合いを広めたいと思っています。

 それともう一つの「人々の意識を変える事」についても、私はある方法を考えました。それは「音楽」と「漫画」による意識改革です。まずは前提として、人々の意識を変えるには「良い言葉」を相手に伝えなければなりません。でも真面目な講演会をしたり本を書いてもあまり効果はないと思っています。なぜなら多くの人は、そんな真面目な話を聴きたくないし、本を読もうとも思わないからです。だから私は人々が気楽に楽しみながら良い言葉を受け取れる手段が必要だと思っています。その手段の一つが歌です。歌は素敵なメロディと歌声に載せて、歌詞が人々の感情にストレートに届きます。そして一度に沢山の人に伝わります。だから私が講演会をする時はコンサートとセットで行います。それに今回CD「Resilience」を作ったのもこういった理由です。それともうひとつの手段が漫画です。これも活字の本より、誰もが楽しみながら手軽に読め、しかも文字よりも細かな情報が伝わりやすいからです。この度発売される漫画「48歳で認知症になった母」(KADOKAWA)の原作を書いたのも、沢山の人にヤングケアラーの気持ちを共感してもらい、自分事としての意識を持ってもらいたいからです。

 このようにいわゆる「娯楽」や「エンターテイメント」がもつ伝達力や影響力を上手く生かす事が出来れば、人々の意識が変わっていくのではないかと思っています。

全然脈絡のない事ばかりしているように見えたかもしれませんが、これが私の人生を賭けた作戦の全貌なのです。今日は、自分で言っておきながら長々しい真面目な文章を書いてしまいました。もしかしたら漫画にしないと誰も読まないかもしれませんね(笑)

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